青春のアフターとさくらの話

人に読んでもらえる文章って難しいんですよね。物語ならわりといけないことはないのだけど。
というわけでタイトルの話。

 

「青春のアフター」というマンガがある。全4巻+同人版のif。全部kindleで買える。アフィを貼るつもりもないからぐぐってください。そのタイトルから読み取れるように随分じくじくと心に突き刺さる物語なわけです。

 

物語の中心にいるヒロインにさくらという少女がいる。16歳の彼女が突如として主人公であるまことの前から姿を消し、16年後32歳になったまことの前に再び現れる。しかも16歳の頃の姿で――というところから話は始まるわけです。青春のアフターなんでね。

 

 

で、ざっくりとここからは完全にネタバレ前提で書くことに。

 

 

 

書きますよ?

 

 

 

いいですね?

 

 

 

 

最終話、なんやかんやあってさらに16~17年後。周りの人たちは49歳ぐらいのところに33歳ぐらいのまことと18歳ぐらいのさくらが戻ってくるわけです。タイムトラベルをして。そこでまことはみい子と再び出会い、そちらと共に進む道を選び、さくらは1人木の下で弁当を食うわけですが、あの木はそもそも桜じゃなくて、梅なんですよね。

 

ここでもう1つ出てくるのが梅子の存在。大学生のまことの目の前に現れて、彼を愛欲に引きずり込もうとする存在。そして、まことを殺そうとした存在。

 

大学生ってだいたい18歳からなんですよ。なので、みい子をまことが選んでしまった時、残されたさくらの年齢と合致してくるということからも「梅子」=「さくら」であると考える流れが自分の中で納得いってる解釈。

 

それまで酒を飲むなどのトリガーがなければタイムトラベルをすることの出来なかったさくらが自発的にタイムトラベルをするようになるのは、まことが梅子によって突き飛ばされ、車にひかれそうになるあの瞬間です。

あの瞬間から、さくらは自分の意思でタイムトラベルをできるようになった。

そしてまことと結ばれ、幸せを掴んだと思うもつかの間、まことが記憶を取り戻してしまったために日本へ戻ることに。そして、まことはみい子と再会してしまう。

 

好きな人に抱かれる幸せを知ってしまった少女がそう簡単にそれを手放せるわけがない。しかも、彼女が今いる地点においては倉橋も49だし、誰もさくらの虚無を埋めてくれる存在はいない。だから、さくらはそれを埋めることの出来る時期を選んでしまう。

なんで大学生の時を選んだんだろうという部分はあるけれども、おそらくは彼女の現在(というとすごくややこしいけれども)の実年齢が一番そこに近いからだ。というわけで最終話の梅の木の下にいたさくらの後の流れを考えると

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さくら、まことを失った悲しみからタイムトラベルという選択肢

まずは自分がコントロールできないタイムトラベルの前に戻る。タイムトラベルをできるようになる未来が必要なので、そのきっかけとなる旅行へ行くためのパスポートを取得。梅子=さくらなので本人。パスポート取得可能。下準備を済ませてタイムトラベル。

見た目に無理のない大学生のころを選択。さくらではなく、梅子としての日々。独り身のまことを探し、アプローチ。まことに抱かれる喜びを知っていることから激しい執着。また、まことがさくらを忘れていないことも分かっているので「一番好きな女の子だよ」発言も当然飛び出てくる。

それを目撃しているさくら。拒絶感はあるが、自分のセックスを見ているだけなので嫌悪感というのは無自覚ながら薄い。

しかしながら祖母の死などの事象を変えることは出来ない。まことが自分の元から離れて行ってしまう。

まことへの愛執が激しくなっている梅子。このまま進んでいけば、みい子とまことが結ばれることを知っている。行き過ぎた感情からまことを殺す選択肢。

しかし、まことはさくらが救ってしまう。
救ってしまい、結ばれてしまうからこそ梅子が生まれてしまう。

以降、梅子はまことに対する愛執を捨てきれないまま生きることを強いられる。

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みたいな感じだとは思うのですが……まぁ、さくらが本当に救われない。たぶん細かいところの取り違いとか、もっと伏線はあると思うんですよ。たばこの銘柄とか、最終話タイトルも含めて。でも、さくらが梅子になってしまう未来は変わらない。おそらく、IFの世界にいかない限り。

 

まことがさくらを忘れられないでいた16年間と、みい子がまことを待ち続けてた16年間はなんとか救われた。じゃあ、さくらの青春のアフターはどこなんだ。さくらはたった今、青春を迎えたばかりだったろうにね。まことと結ばれたことだけがさくらにとっては青春になってしまったのかもしれない。

 

……今さらながらにまったく人に読ませる気が無い文章じゃなくてメモですね、これ。

 

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追記

まことを殺す選択肢という捉え方は間違いでしたね。

梅子がやろうとしているのは毎回、まことに消えない傷をつけようとすること。

さくらの目の前で抱かれるのも、みい子の目の前でキスしたことも。

そして、自分の好きな相手に対して「嫌いだ。もう二度と会いたくない」と宣言させることで梅子の目的はようやく果たされる。ちゃんと拒絶して、とも言ってますし。

まことに消えない傷を与えるには梅子になる必要があるから、あそこでタイムトラベルをする必要があるわけですね。

さくらにとっての青春=まことと結ばれることが存在しなければやっぱり梅子にはなれないから。まことを傷つけることができないから。しかも、まことも事故の影響で意識は高校時代に戻ってくれてるから青春だねわーい。

 

というわけで、道路に蹴飛ばしたときのト書きは梅子視点。これからのさくらの青春の狭間に対する言葉。

 

倉橋を遠ざけていようとしたのは作中のおまけのせいですかね。酒が酩酊状態でタイムトラベルを誘発し、タバコが覚醒効果でタイムトラベルを阻害する。だから、倉橋の近くだとタイムトラベルがしにくいとかそういう感じ。